そこは、一年の半分以上の日が曇りと雨というところだった。たとえ朝がどんなに雲一つなく晴れていても、午後になれば当たり前のように真っ黒な雲が広がってきて土砂降りになってしまうような、そんなところだった。自転車で通勤していた僕は、スーパーで買った安物のビニールのレインコートを通勤鞄に忍ばせていたし、外出先での不意の雨に仕方なく買ってしまった透明なビニール傘も、5本もたまってしまった(レインコートでは困るときもあるのだ)。晴れているからといって、休日に布団を干したまま外出することも一種の賭けだった。
とにかく毎日がどんよりとして、太陽の光が恋しい、そんなところだった。