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僕は雀を埋めに
その日、僕は死んだ雀を埋めに行った。 雀の、というより野鳥全般に言えることだが、その死が人に見られることは滅多にない。大抵は雑木林や森の木の下でひっそりと息絶え、ものの数時間のうちに小動物や昆虫や微生物などによって解体分解され、そのまま土... -
ア・テイスト・オヴ・ホットミルク
その1 (2001/01/26) 「カタン」とミニ・コンポの電源が入ってFM放送が流れ出した。それから1、2分すると、今度は目覚し時計が鳴り始める。賢いのか鬱陶しいのかよくわからないけれど、この目覚し時計は3分毎に鳴るようになっている。僕は3分毎に鳴る目覚し... -
港町の話
そこは港町だった。良くも悪くも「おっさん臭い町」だった。僕の住んでいたマンションからすぐのところに船寄せの港があり、昼過ぎになると漁船がカモメと共に帰ってきた。風は常に湿気ていたし、髪は少しベトベトした。 不定期にもらえた休みの日は、基本... -
オモイデ・スパゲティの作り方
鍋に水をはる。スパゲティを茹でるので、できるだけたっぷり水を入れる。そして水道の蛇口を閉め、蓋をして鍋を火にかけ、換気扇のスイッチを入れる。シンとした空気のキッチンを、換気扇の静かな「ゴー」という音が埋める。 「はかり」を出す。透明なプラ... -
つじあやの シークレット・ライブ・レポート@MIDシアター(2000/11/21)
MIDシアター(大阪)2000/11/21 19:00 start お天気娘 きっと明日も たんぽぽ クローバー おいたままラブレター 今日はたまたま 春は遠き夢の果てに 心は君のもとへ さようなら 悲しみの風 150組300人招待のシークレット・ライヴ。抽選で当たっちゃったん... -
鼠
そこは、一年の半分以上の日が曇りと雨というところだった。たとえ朝がどんなに雲一つなく晴れていても、午後になれば当たり前のように真っ黒な雲が広がってきて土砂降りになってしまうような、そんなところだった。自転車で通勤していた僕は、スーパーで...