本来はポジティブな意味なのに正反対のネガティブな意味で普及している言葉、好き

本来はポジティブな意味なのに正反対のネガティブな意味で普及している言葉、好きー(お見送り芸人しんいち風に)

少しだけ「言葉フェチ」だ。「がっつり辞書を熟読するレベル」では全然ないけれど、目に飛び込んでくる言葉を反対から読んで語感や響きを味わう「逆さ言葉遊び」が好きだったり、駅名の末尾に「ん」をつける遊びが好きだったり、「華屋与兵衛」は類いまれな「鼻から息が漏れる語感の言葉」だと思っていたり。

そんなレベルの言葉フェチである。

で、本来はポジティブな意味なのに正反対のネガティブな意味で普及している言葉がある。ちょっと紹介してみる。

目次

適当

「適当」には大きく分けて3つの意味がある。

  1. うまく合っていること、ふさわしいこと
  2. 程度がほどよいこと
  3. 大雑把であること、いい加減であること

「適当である」という表現は、おそらく本来はポジティブな意味だったと思うけれど、多くは3つ目の「大雑把、いい加減」の意味で用いられている感がある。

近い表現の「適切」は優等生のままなのに、ちょっとかわいそうである。

いい加減

「適切」の3つ目の意味でもある「いい加減」も実は同じような立場だ。

  1. 程度がほどよいこと
  2. かなり。相当。「-いやになった」
  3. 大雑把であること、中途半端であること

「いい加減」は「好い加減」と書くので、これも本来はポジティブな意味のはず。でも1つ目のポジティブな利用はそれほどなく、2のネガティブな「トゥマッチでいやだなー」や、3の「大雑把、中途半端」の意味で使われることがほとんど。どうしてこうなった。

のたまう(宣う)

これは以前にこのブログで書いた。「のたまう(宣う)」は3段階の変化がちょっと見える。

  1. 「言う」の尊敬語
  2. 「言ってやります」「申し聞かせます」のように、言う相手の立場を低めて表現を謙遜し、聞き手に対してかしこまる気持ちを表す
  3. 皮肉や軽蔑を込めた「言う」

元々は尊敬語だったはずなのに、いつのまにかちょっとネガティブな意味を持ち始めている。「1→2→3」の順番で意味が派生していったと思われる。最終的にはちょっと嫌みな感じ。

香ばしい

「香ばしい」は辞書的にはポジティブな意味しかない。いい匂い、特に何かを煎ったり焼いたりしたときの香り。他に古語で「立派である」「心がひかれる」の意味もある。けれども。

  1. いい香り
  2. 痛々しい、頭がおかしい <インターネットスラング>

インターネットで見る限りは2つめの「痛々しい、頭がおかしい」の利用が目立つ。完全に隠語だしインターネッツのきれいじゃない言葉だけれど、本来の意味がちょっと可哀想。

「かぐわしい」もインターネットスラングでは同じようなネガティブな意味合いで使われる。

本来はネガティブなのにポジティブな使われ方をし始めた言葉たち

反対に、本来はネガティブな意味なのにポジティブな使われ方をし始めた言葉もある。

「変態」「狂ってる」という言葉は、「異常なまでに突出してすごい」というなぜか最上級にポジティブな意味合いで用いられることがある。

「いい意味で○○」の「いい意味で」が省略されてそうなったのかなと思う。もう「いい意味で」という枕詞を付けたら何でも言っていいと思うなよと少し思う。

でも、言葉は「なまもの」。こういう変化をかみしめて味わうのが好き。そんな感じの言葉フェチ。

こんな言葉、他にあったら教えてください。

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