やっとこの日が来た。手元にはFairground Attractionのニューアルバム『Beautiful Happening』。36年目のセカンドアルバム。座して聴いた。
36年の相応の落ち着きと円熟さを漂わせて、でもあの独特の温かく懐かしい空気をまとった素敵な曲たち。彼らが再結成するなんてなぜか思ったこともなかったけれど、心のどこかで望んでいたセカンドアルバム。
今日まで生きていて本当に良かった。彼らも、私たちも。
1曲目の「Beautiful Happening」が大好きだ。この曲のミュージックビデオがYouTubeで配信された2024年6月12日、見終わった後に心打たれて動けなかった。再結成を強く連想させ、余韻が深くて心をぎゅっと締め付けた。なんせメンバー4人が川でボートに乗って演奏しているのだ。「Perfect」とまったく同じシチュエーションじゃないですか。「Allelujah」を連想させる凧の映像も差し込まれている。何度もリピート再生した。
なんだろう、興奮しているけれど泣きそうだった。
2カ月前の日本でのライブもとても良かった。とにかく良かった。そのライブでニューアルバムの曲を一通り聴いたこともあって、CDでそれらを振り返りつつ、レコーディング用にアレンジされたものをまた味わうという不思議な感じにもなった。「あ、これはブラスが入るんだ」「これはちょっとソウルっぽいんだ」と違う受け止め方をする曲もあった。
そういえばライブでは、エディのソロ時代のマーク作曲の楽曲や幻のセカンドアルバムとされるスイートマウス楽曲を混ぜることなく、「純度高く」ファーストアルバムと新しいセカンドアルバムの楽曲で本編を構成させていた(アンコールで1曲スイートマウスの楽曲エディとマークのデュエットで楽しそうに演奏したけれども)。
なんだろう、いまから思えばあのライブのセットリストは意図をもって望んだのだろうな。
ファーストアルバム『The First of a Million Kisses』には、「A Smile in a Whisper」や「Allelujah」といったキュートでロマンティックな曲があった。「Perfect」や「Clare」といった若さを感じる元気な曲もあった。セカンドアルバムはもっと落ち着いた感じの曲が並ぶけれど、いいんですよ、彼らも私たちも36年も年齢を重ねたんですよ。
あわよくば、パーマネントな活動として末長く続いてほしい。